人工知能学会全国大会(JSAI2026)にてHumanitext GEOに関する研究を発表しました

6/12/2026

JSAI2026でHumanitext GEOをライブデモする田中一孝

2026年6月11日、Gメッセ群馬(群馬県高崎市)で開催された2026年度人工知能学会全国大会(第40回・JSAI2026、会期6月8日〜12日)のオーガナイズドセッション「人文学とAI」にて、Humanitextプロジェクトの田中一孝・小川潤・岩田直也による論文「都市を起点とした西洋古典世界の共時的・通時的探索―人・時間・地理情報に基づくAI協働型テキスト解釈支援―」を、田中一孝が発表しました。

本研究は、3月に公開したHumanitext GEOの背後にあるデータ構築のアプローチを報告するものです。発表の冒頭では、開発のきっかけも語られました。学生に「Antiquaで同時代人の言説を調べる」レポート課題を出したところ、そもそも専門外の著作家が「いつ・どこで」活動したのかを正確に把握すること自体が高いハードルだと気づいた——GEOはこの実感から生まれています。西洋古典の著作家たちが「いつ・どこで」活動したのかという情報は、テキスト解釈の文脈を理解するうえで不可欠ですが、古代の年代情報は不完全で、地名も表記の揺らぎや行政区画の変遷を抱えています。本研究では、LLMによる情報抽出・候補提案と人間による検証を組み合わせて著作家メタデータを構築し、生没年や活動時期を固定値ではなく「推定幅」として表現することで、史料に内在する不確実性を明示的に扱えるようにしました。地理情報は古代世界の地名データベースPleiadesの識別子と結びつけています。

発表では、年代スライダーを動かしながら「紀元前350年の地中海世界」に生きた著作家たちを地図とタイムラインで一覧するライブデモも実施しました。都市を「知的活動の結節点」として捉え直し、都市と時代を選ぶとそこに関わる著作家とテキストが立ち上がる——検索拡張生成(RAG)と組み合わせて都市を起点に知の歴史を再構成する、というHumanitext GEOの構想を、人工知能研究者のコミュニティに向けて示す機会となりました。